桐谷美玲さんが出演されている、お菓子メーカー『ブルボン』さんのCMを作曲させていただきました。
今月からオンエアーされています。
「パティスリーブルボン 開店」篇、「ルマンドの秘密」篇、「自慢のバームロール」篇。
パリのお菓子屋さんをイメージした音楽で、メインの楽器はアコーディオン。
私が弾いております。
録音に使ったアコーディオンは、ゲリーニというイタリアのメーカーのもの。
20数年前に購入しました。
それまで私はアコーディオンを一台も所有していませんでした。
デビュー時からピアノを弾きながら歌うスタイルだったため、アコーディオンに手を伸ばす機会は無かったのです。
20代のときに出したファーストアルバムで1曲だけアコーディオンを弾いていますが、それも友人の楽器を借りてボロが出ない程度に(笑)弾いているだけ。この楽器と自分との間に特別な関係性を見いだすということはありませんでした。
しかし、どういうわけだかアコーディオンを弾いてほしい、という仕事の依頼が昔からぽつぽつと来るのです。
「あのぉ〜〜、私はピアノ弾きなので同じ鍵盤楽器であるアコーディオンを弾くぐらいのことは辛うじてできると思いますが、なにせアコーディオンを持っていないのです」ともじもじお答えする私。
アコーディオン専門家ではないからきっとバリバリ上手には弾けない、楽器もない、つまり到底胸を張ってお請けできるお仕事ではないことをやんわりご説明しているつもりなのに、先方からは「あ、じゃあこちらで何台か借りておきますから、当日気に入った楽器で弾いてください」と返される。
仕方ないので不安ながらも当日はブッキングされた時間よりも早めに入り、先方が借りておいてくださった大小様々なアコーディオンを次々と弾いて、一番身体にしっくりくる楽器で演奏させていただきました。
世の中には上手なアコーディオニストさんが何人もいらっしゃるのに、なぜ私にこういう仕事が来るのだろう、と不思議に思っていると、それから少ししてまた同じようにアコーディオンの演奏依頼が来ました。
そのときは、「数日貸し出すからおうちで弾いて楽器に馴染んでおいてください」とのご返答。
どこから考えても実に不可思議な展開ですが、これはきっとアコーディオンを買いなさいと神様がおっしゃっているのだろうと解釈し、ある日突然決意した私は、生まれて初めてアコーディオンを買いに行きます。
その数日後、買ったばかりのアコーディオンを使って、作曲したCMの録音。
せっかく買ったのだからと、何かとアコーディオンを自分の録音の現場に登場させているうちにだんだんコマシな演奏ができるようにはなっていきましたが、困るのが、超〜〜重いこの楽器を録音スタジオに運ぶ手段。
車が運転できない私はタクシーに乗せて運ぶしかなく、そうなると行き帰りのタクシー代だけでシャレにならない金額。
大急ぎで運転免許を取得し、車も購入・・という具合に、どんどん私の生活スタイルは変化していったのです。
当時、日本はバブル崩壊前夜。嘘のような好景気が長く続き、世の中はもはや飽和状態。
どの人も、豊かさに対して極めて鈍感になっていた、そんな時期でもあります。
そんなことを懐かしく思い出しながら、美味しいどらやきを頬張る私。
甘いお菓子は、シアワセの源!
プレゼントにお菓子をいただくと、だれもがハッピーになりますね!!
こうして日々の小さな幸福感を噛みしめて積み重ね、噛みしめて積み重ね、もうこれ以上噛みしめられないまでにたっぷり抽出した幸福感を自分の音楽に託する、そんなオチゴトの毎日であります。