2007-06-04 滝を見る 何かに導かれるように、いや、あきらかに導かれて、するすると山道を分け入り、滝を見る。 見るべくして見る滝だから、その滝を見ているのは私達だけであったし、滝が見ていたのも、私達だけ。 苔の匂いで肺を満たす。皮膚を破り、粘膜をくぐり抜け、内包する複雑な情報が血液にそのまま転写されてしまうかのような、甘やかで深い、苔の匂い。 何も考えず滝の音に耳を委ねていると、じきに大きな大きな一つの音の塊に身体全部が包まれ、時間の感覚が希薄になる。 気づくとかなりの時間が経過していた。