Darieの超~お気楽日記

音楽家Darie(濵田理恵)が日々のことを綴る、超~お気楽日記。

偶然の連なり

少し前、大阪でバレエの公演を拝見した。
加治屋百合子さんという、ヒューストン・バレエのプリンシパルをされているダンサーの踊りを拝見することが目的だった。
公演はミックスプログラムで、国内外で活躍されるダンサーや、若手の方々もご出演。
加治屋さんはトリをつとめられ、「ロミオとジュリエット」のバルコニーのシーンを踊られた。
お相手は、英国ロイヤル・バレエのプリンシパル、平野亮一さん。
お二人の踊りはとてもすばらしくて、帰りの車を運転しながらも身体中にイマジネーションが豊かに広がる。面白いほどにどんどん広がっていく。
素敵な公演に、私にとっての良きタイミングで触れることができた、ということなのでしょう。
ロミオ役を踊られた平野亮一さんのことをネットで検索してみると、お母様の平野節子さんのバレエ学校で最初に学ばれた、と書かれてある。
節子さん・・・。
節子さん、バレエ、といえば私にとって忘れ難き思い出が様々に蘇ってくるのだった。

私が3歳の頃、最初に学ぶことになったバレエ教室に節子さんという女性がいらした。とても美しいバレエを踊られる方で、幼い私にとって憧れの存在だった。私のみならず、お教室に私を連れて行く母までもが節子さんのファンであった。
そののち、私はいくつかのバレエ教室を転々とし、中学2年生のときに新たに通い始めたバレエ学校で、節子さんと再会する。
節子さんのバレエは以前の何倍にも優美さを増していて、いついかなる時にも満月の如く全身がピカッと発光していた。決して大袈裟な表現ではなく、節子さんのいる場所はまるで女優ライトで照らされたかのように明るく見えるのである。
さらにそののち、2年のブランクを挟んでまた別のバレエ学校に通い出した高校生の私は、そこにも節子さんが在籍されていることを知り、心の底から驚いた。なぜ私の行く先々に節子さんがおられるのか。
しかし、ここで節子さんのリアルな思い出は、一旦終わっている。
私は慌ただしくも不可思議な紆余曲折を経て東京の美大に進学し、4年生のとき、卒業制作で大人のための絵本を制作した。
その絵本のテキストの中に、私は架空の節子さんを登場させた。一人の踊り手へのオマージュとしてフワッと抽象的に描くにとどめているが、「節子さん」という具体的な文言も織り込まれている。

・・・で、今の時間軸に話を戻し。
調べるうち、数日前に拝見した「ロミオとジュリエット」でロミオを踊られた平野亮一さんのお母様は、私の絵本に登場する「節子さん」であることがわかった。
本当に驚いた。
節子さんは、忘れた頃に、また私を驚かせてくれた。^^
広いようで狭く、狭いようで広い、この世界の、不思議な稜線で切り取られたエリアの中で起きた偶然の連なりに、妙に納得しながら白湯を舐める夜更けであります。
節子さんの踊りをまた拝見したいな。