Darieの超~お気楽日記

音楽家Darie(濵田理恵)が日々のことを綴る、超~お気楽日記。

すごい世の中

三日前の誕生日の夜、浅草のフグ屋さんでフグ料理をいただいた。
もちろん中盤からは鍋である。
具材を入れるタイミングだの、最後の雑炊のときの卵はどうするだの、ほとんどの鍋料理はその座に参加している人たちによる共同作業だ。
こしらえから取り分けまでのすべてをお店任せにする場合もあるけれど、それでも最後に卵をまわし入れるところだけは自分でやりたい、という人も多いのではないだろうか。
食べ手が調理に一手間関わる、参加型の料理。
参加型の料理をいただいているときは、食べる以外に、手も動くし口も動く。よく喋るということ。
そして、なぜか、お店任せで何もせずにただ美味しくいただくことに専念しているときにはほとんど出てこないような、「食」と無関係の話題が、無理なくするすると出てくる。
それがちょっとオカタイ話題であっても、まるで近所の知り合いの噂をするがごとく、気楽でありふれた質感になるのが面白い。


私たちの隣のテーブルは、最初はどこかオカタイ雰囲気の4人組だった。
上司と部下、相談役、などなどの社会的な構図が見てとれる。
それでも一番奥の席に部下らしき女性を座らせていたから、多少はくだけた業種の人たちだったのかもしれない。
そろそろ雑炊も食べ終わろうかという頃、そのうちのお一人がいきなり私たちに話しかけてきた。
還暦を数年前に迎えられたそうで、お酒ですっかり柔和になり、他人への警戒心も限りなくゼロに近くなっているのか、これから自分達と一緒に飲みに行きませんかと強力に誘ってくる。
誕生日の夜に見知らぬ人たちとお酒を飲むのも、それはそれで面白そうではあったけれど、やんわりお断りしてお別れした。
あの方達とお酒を飲みに行ったらどんな顛末になっていたのかしら。
何かとんでもないことが起きて、一生忘れようにも忘れられない誕生日となったかもしれないなあ。
などと、団鬼六氏の自伝エッセイ「死んでたまるか」におさめられている「除夜の鐘」を昨夜読み終えながら、しみじみ思ったのでありまちた。
いや〜〜。すごい。鬼六ワールド。そして、おそろしいほど読みやすい。この読みやすさには用心してかからないと。(笑)
とにかくすごいざます。
同じく昨日観た、映画「冷たい熱帯魚」もすごかったけれど。
世の中にはすごいものがたくさんあるのね〜。たのちい。