秋晴れの朝、車を走らせて、作曲家・福田和禾子さんの告別式に向かう。
「北風小僧の寒太郎」を作曲された方。同業者としての大先輩。たまにしかお目にかかることはなかったけれど、いつお会いしてもアグレッシヴで、自動車とスピードをこよなく愛された方。
早すぎる突然のご不幸とはいえ、録音スタジオで倒れられそのまま亡くなられたということだから、ほんとうに音楽家さんとしての一生を全うされたのだ。
お式は九品仏の浄真寺にて。
大変に趣きのある素敵なお寺。
門までの並木に彩られた長いアプローチを一人でゆっくりと歩いていると、心地よい秋風が私のうなじに渦をまく。
美しいお葬式だった。
とても美しいものをいただいた気がした。
どうぞ安らかに、なんて、福田さんにはとても言えない。天国でも、どうかバリバリ素晴しい曲を書き続けてください。
