2014年10月にリリースされた、私の4枚目のアルバム『ダリエ百葉窓』の楽曲解説です。
ようやくアルバム最後の曲に辿り着きました〜。
21曲目の「キミハボク ボクハキミ」について書きます。
21.「キミハボク ボクハキミ」
作編曲・歌:Darie
演劇ユニット・LABO!の公演『十二夜』のために作った曲です。
作:シェイクスピア
演出:堀内仁
初演:2008年4月10日
アルバム1曲目の「十二夜」のロングバージョンです。
「十二夜」の解説はこちらをお読みください。
http://d.hatena.ne.jp/darienonikki/20141228
お芝居の最後、役者さんが全員舞台に出てきて、大団円を迎えます。
そのシーンのための音楽です。
全員が歌い、踊り、ギターを弾く役者さんもいます。
私も舞台上でグランドピアノを弾きながらマイクを通して歌いました。
間奏では本編の後日譚のダイジェスト版が繰り広げられ、ハッピームード満載。
イキモノすべての生命の循環を謳った、賑やかしいハレの歌です。
この曲の前に、まず、2コーラス分だけで成立している静かな「十二夜」を作りました。
そして、3コーラス目が必要となる長尺の当曲を作るにあたり、演出家の堀内氏と何度もメールのやりとりをしています。
それを今読み返していますが、音楽的にまとまりのあるものにしたいと思っている私の考えや音楽家としての先入観を理解したうえで、堀内氏の要求はブレることなく、細く細く細く一点に集中しています。
それが歌詞として成立しなかったとしても、クドくとも、ダサくなろうとも、コトバではっきりと示したいと。
氏の記述を引用します。
なにかが積み重なっていった先の先の先にとつぜん見えてくる世界。
それは宇宙まで突き抜けた空間かもしれないし。
それは夜明けの太陽の光かもしれないし。
それは神様のやさしく大きな包容かもしれないし。
ガガーリンの「地球は青かった」という視点かもしれません。
あるいは、ハゲかけたペンキ。崩れかけた都市。人のいなくなった街。
それを見つめる遠くからのまなざしかもしれません。
それでもそれでもそれでも命は続くことを、
生まれて、死んで、生まれて、死んで、どこまでもどこまでもどこまでも
果てしなく続いていくことを、
そのことを歌詞にしてください、と。
果たして、3番は完成しました。
結果、異なる二つの世界を一つの時間軸に同時に存在させたような歌世界となりました。
公演ではこの歌をすべての回で出演者全員が歌いましたが、何日目かの上演のとき、私は、まるで一つの生命をみんなで共有して育んでいるような感覚を得ました。
まるで共同体の中に生まれ落ちてきた生命をみんなで慈しんで育てているかのような・・・。
大昔の人の営みとはこうであったのかもしれないと思えるリアルな感覚が、一瞬身体の奥底に芽生えた気がしたのです。
それは、たくさんの人間の才気が寄り集まってこそ成立する演劇という分野に携わらなければ、たった一人の音楽家の旅路の中では見ることのなかったかもしれない、懐かしく甘やかな景色でした。
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