演劇ユニット、LABO!の公演が今週末に迫っている。
http://www.ilaboyou.jp/nerure_paris/nemure_paris_info.html
2001年、縁あって彼等の演じる「卒塔婆小町」(作:三島由紀夫)を富山県の利賀村で開かれた演劇コンクールで観たその数ヶ月後、私は初めて彼等の稽古場にお邪魔し、台本を開き音楽打ち合わせをしていた。
東京で「卒塔婆小町」を再演することになり、そのとき同時上演された「弱法師」の音楽を担当することになったのだ。
とても興味深い作業で、ザクザクと作ってきたコマーシャルの音楽とも、アニメの楽曲とも、自分のアルバムのための曲作りとも違う。それまで関わった仕事のどれにも似ていない音楽作業だった。
それ以来、彼等が公演を行うたびにちょくちょくお声をかけていただいて音楽を作らせてもらう、なんてことが続いていたが、4年前、チェーホフの「白鳥の歌」という作品で、私も舞台に乗っかり、ピアノを弾いた。二人芝居の、片方の役の台詞をすべてピアノで演奏する、という試みだった。
そのとき同時上演されたのが、「眠レ、巴里」(作:竹内銃一郎)。
大変に魅力的な作品で、観終わったあと、心の中にどうにも説明のできない切なさや寂しさや希望や懐かしさや愛しさが残る。
今回はキャストが変わって、その「眠レ、巴里」の再演。
私はこのたびは何も関わらず、ただ客として観させていただくことになっていて、ヒジョーにヒジョーに楽しみなのだ。
公演は、3回しかない。
たくさんの時間を稽古に費やして、少しずつ積み上げてきたものが、3回の公演で結実する。
そしてその場に居合わせた観客達の心の中に何かを残して、蒸発してしまう。消えてしまう。
この儚さが、尊いと思う。