本日は月蝕。
皆既状態に突入する頃、東京の空はおそらく分厚い雲に覆われている。
残念だけれど、今宵の満月が紅色の闇にちりちり喰われていく様子を眺めることはかなわなそう。
数日前から南の島に飛んだ友人一家がうらやまちいざます。
贖罪、の意味があるのだそうな。
蘇生、再生の意も。
そんなことを考えながら、昨夜の月を見た。
夜空に浮かぶ、異様なまでにくっきり輝く、満月には一日分足りない、少しいびつな発光体。
それそのものが発光しているわけではないはずなのに、あの球体の内側からは光だけではなく、あらゆるエネルギーが溢れんばかりに照射されているように思える。
深夜の歩道に佇んで、しばらく強力な月の光を浴びた。
皮膚や骨までをも突き抜けてしまう、月の光。
微細な青い光の粒が、私を幾億にも分断する。
月の光に灼き尽くされて、あたらしいナニカにすっぽりと入れかわる、自分。
玄関から数十歩の歩道の上で、丑三つ時にこんなことしげしげと考えてる、自分。。。
