パフォーマンスは終了しました。
お天気に恵まれて、大きな窓から降り注ぐ太陽の光をさらさらと浴びて、本当に気持ちよく異世界にいざなわれ。存分に遊びました。お客様もふわりと一体となって。
下の写真は、吉祥寺での収録とパフォーマンス公演の狭間のぽっかりとした休憩時間に、鏡の向こう側に語りかけてみたときのもの。どことなく湯上りの風情。
北鎌倉での収録
パフォーマンスはDamaDamTalのお二人とともに、リハーサル無しの一発勝負の完全即興。
収録を前提としていましたので、私はワイヤレスマイク装着、建物の陰には機材を広げた音響チーム、撮影チームはあちこちにカメラを仕込み、更にはたからの庭の中を動きまわるパフォーマーたちをカメラマンが追いかけ・・・といった具合。
この日のパフォーマンスをご覧になったお客さまたちにおかれては、本当に貴重にして奇妙なものに立ち会われたことと思います。
美術家の半谷学さんのインスタレーション作品の展示を中心に、そこに寄り添うパフォーマンスやワークショップを含む、情報量の多いプロジェクトです。
半谷学さんの作品は、北鎌倉たからの庭において、11月6日〜21日の金土日曜日、屋外にて展示されています。観覧無料。
鎌倉の「谷戸」という人の手によって切り開かれた場所。祈りの空間。
雨、風、鳥たちのさえずり、木の葉、精霊たちのささやき、岩壁、樹木、そして今を生きる人々のぬくもり・・・様々なものが渾然一体となった展示会場に、軽やかに存在しています。
ぜひ足をお運びいただき、展示「花降り、添うが森。」をご覧いただきたいと思います。
吉祥寺ギャラリーshell102においての半谷学さんの展示は、11月14日〜23日。同じく観覧無料です。
去年の記述
2020年10月28日の記述。
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パフォーマンス公演に出演します。
インフルにまつわる思い出などなど
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北インド古典音楽ドゥルパド様式声楽家さんにして、現ダーガル流派最長老のグル・ジ Pt. リトウィク・サンニャル氏。
インド音楽の古典中の古典の重鎮。
氏をお招きしての二泊三日の合宿に、ドゥルパドを多少は聞きかじったことがある程度の私が面白半分で参加してみた。
内容はとても面白いものであったし、誘ってくれた友人には深く感謝している。
開催場所となったのは京都市内の、とある産院のビル。
1階でワークショップ。ここに参加者のほとんどが雑魚寝で寝泊まりする。
3階には合宿スタッフと、インドからお越しのリトウィク・サンニャル氏が宿泊。
総勢35人ほどだろうか。
私は誘ってくれた友人とすぐ近くのゲストハウスに宿泊した。
初日、午前中のワークで通訳を担当された女性が、午後のワークになって体調不良で不参加と伝えられた。オーストラリアから帰国したその足で合宿所に来られたそうで、疲れが出たのでしょう、とのスタッフサイドの説明だった。
二日目、日の出前からの早朝ワーク。ゆっくり朝食を摂ってから午前のワーク。長いランチ休憩を挟んで、午後のワーク。
参加者は録音を許され、難解かつ魅惑的なインド音階と、複雑で繊細な音律に、耳を最大限に開きながらワークに没頭していた。
二日目の午後のワークでは、この合宿を主催した団体の中心的人物の女性の体調不良が伝えられた。
彼女は朝からマスクを着用していたので、今回の合宿開催にあたってかなりご無理をされたのではないかと参加者が囁きあっていた。
スタッフのみなさんの動きがなんとなくざわざわしているのが感じられた。
最終日、日の出前の早朝ワークのあと、一度宿に戻った私と友人は、午前のワークが始まる少し前に会場に向かった。
すると入り口にタクシーが停まっている。
会場に入ると、スタッフも参加者もざわめいている。
体調を崩したスタッフは7名に増えて、そのうちの何名かは症状が重く、病院に行く必要があったためにタクシーを呼んだとのこと。
合宿はこの最終日の午前のワーク2回で終了である。
午前1回目のワークが終わった段階で、体調不良で病院に向かった方たちから連絡が入り、その内容が私たちにも伝えられた。
病名は、インフルエンザA型。
そう、3階のフタッフフロアではこの3日間、大変な感染劇が繰り広げられていたのだ。
同じフロアで宿泊しているスタッフたちは、次々と感染。
インフルエンザの季節としてはまだ早いし、最初の体調不良者が出た段階でその可能性が考えられなかったのは無理からぬことだと思う。
発熱、嘔吐。ひどい人は起き上がれないほどの重症だったそうで、そうはいっても、ワークはあと1枠を残すのみであるし、リトウィク・サンニャル氏はニコニコしながら「I'm very fine.」と言っている。
ワークは続行されることになり、全員にマスクが配られ、アルコール消毒液のポンプも回ってきた。
が、時すでに遅しである。
密閉空間での終始声を出しながら、しかも寝食をともにしながらのワークなのだ。
参加者にもじんわり感染は広まっており、ごほごほ咳をしている人や冷えピタを額に貼ってる人までいる。
あまりに異様な光景だった。
私はその日の朝から喉の調子が今ひとつであった。
終日歌い続けていたからかなと思っていたが、これはもう絶対にやられたと確信した。
終了後は、リトウィク・サンニャル氏と写真を撮ったり、連絡先を交換しあったりの和やかムードであったが、それは「現時点では具体的に発症していなくとも確実に自分も感染しているに違いない」という感染者同士の絆が生み出す何かだったのだろう。
いつ発熱するのか、いつ吐き気に襲われるのか、という目算を頭のどこかで立てながら、みなそれぞれ、手を振って別れた。
数時間ののち、リトウィク・サンニャル氏のコンサートが近くのお寺で開催され、せっかくなので私はそちらも拝見したが、このときすでに強い眠気と微熱と朦朧の感覚あり。
帰りの電車の中で身体の節々が痛く、辿り着いた我が家で熱を測ると37度8分。
翌朝はさらに体温が上昇。
近くのクリニックで検査したら、やはりインフルエンザA型だった。
なんと、人生初のインフルエンザである。
今年から認可されたというシオノギが開発した新薬「ゾフルーザ」なるものを処方していただき、それから32時間ほど経った今、ようやく平熱に戻った。
合宿に誘ってくれた友人も発症したようで、他の友人たちも「熱っぽーい」と言っていたので私と同様みなインフルに感染したのだと思う。
全滅である。
そんな中、ただ一人お元気なのがリトウィク・サンニャル氏だったのだとすれば、これはやはり、インド人凄い!と云わざるを得ない。
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