きむらゆういちさんの個展のパーティーへお邪魔した。
絵本作家さんとして今や不動の地位を築いておられるきむらさんだが、この方の作るお話には、必ずどこかに涙の成分が入っている。
他にも、どうやっても絶対的に取り戻せないものへの思慕とか郷愁とか、ものすごくツボな感じで配置してある。
これらの「涙スイッチ」や「郷愁スイッチ」は地雷のようなもの。
うっかり踏むとたちまち胸が苦しくなって、鼻の奥に火薬の匂いがして、目頭がツーンとしてくるのだ。
私の目頭を、いや、私に限らず、あらゆる人々の目頭をツーンとさせてしまうきむらさん。
そうなのだ、きむらさんは先日の私のライブにもお越しくださって、ありがたいことにお花までくださったのだった。またしても私の目頭はツーン。他人の目頭をツーンとさせる、まさに達人のようなお方である。
そんなきむらさんの個展のオープニングパーティーは、とても活気に満ち満ちていて、あたたかくて、お祝いにかけつけたどの人からも「ゆとり」のオーラが立ちのぼっているような、そんな素敵な会だった。
帰りの首都高はガランガラン。
うっすらとラジオを聴きながら、夜の景色を見ていると、どこかへ一人で旅行に行く途中であるかのような気持ちになった。
楽しいような、せいせいするような、でも何か少し寂しいような。
そういえば、私は飛行機や新幹線に乗って一人で旅行に出かけたことはあるけれど、たった一人で車を運転して旅に出たことがない。
今度、それをやってみようかちらね。どこか目頭ツーンな旅。