スパイスがもたらす幸福感にどっぷり浸ってしまった。
この、えも言われぬ感覚を一度でも体験してしまうと、どんなに杓子定規でお堅い人間でもコロリとやみつきになること間違いない。
鼻孔や肺、皮膚、髪の毛、頭皮、口腔、目の粘膜、あらゆる場所が芳ばしいスパイスのめくるめく刺激にさらされているうち、知らず知らず「幸せなヒト」に変身しているのだ。
「幸せなヒト」にコロリと転じてしまった暁には、初対面の方ともなんのストレスもなく打ち解けて、みなさんゆるやかな笑顔。
旧知の友人も、30分前に初めて会った人も、仲良く床に座って、感謝の念をあふれさせながら極上美味なるインド料理を心ゆくまでいただく。
・・・てなすんばらしい会にお邪魔してきたのであった。
一夜明けてもまだまだ続く幸福感。
スパイスの調合を制した者は、世界を制する〜!
幸せなヒトに変身したまま、一昨年、とある縁で出会ったルース・スレンチェンスカのCDをひさびさに引っ張りだしてきて、じっくり聴く。
ラフマニノフの「ひなぎく」、身体にしみるような美しさ。
まるでスパイスのように、毛穴から粘膜から、彼女のピアノが入り込んでくる。
すごいおばあちゃまだわ。。