Darieの超~お気楽日記

音楽家Darie(濵田理恵)が日々のことを綴る、超~お気楽日記。

蘇る、って、いいな。

darienonikki2014-07-10

1月19日、と記載された、この音楽テープ。
録音の現場から姿を消して久しいDAT。デジタルオーディオテープである。
いったい西暦何年の1月19日なのか。
手元に当時の紙資料はすでに無く、記憶をたぐってみるものの、およそ20数年前、としかわからない。
この日、渋谷のオンエアーウェストというライブハウスで、私は30分間のライブをしたのであった。
そのライブは、マルチスライドを用いて世にも美しい写真をスクリーンに映し出しながらの演奏、いや、演奏ではなく、歌唱。なぜなら私はピアノを弾かなかった。


ステージにのっかっているのは、このDATに納められた音源をバックに歌う私と、全身白塗りフンドシスタイルでダンスをする真胡珠央氏のみ。
この年のお正月は、ひたすらこのライブのための音源作りに明け暮れた。
ライブというよりはインスタレーション作品に近いもので、通常の音楽ライブと違って複合的な準備が必要であったが、そのためのアイディアをともに練り、多彩なクリエイター達に声をかけてくれたプロデューサー的立場の友人女性の存在がなくては、実現は不可能だったと思う。
このとき私は、伊藤ヨタロウ夫人の作ってくれた衣装に身を包み、腕にはやわらかな光を放つ造形物(実は男根)を赤子のごとく抱いて、自分の作った歌をまるでどこか知らない国の人が作った歌みたいに、微動だにせず、客席の観客の瞳や頬に反射するスライドの色彩を見つめながら、黙々と、歌った。


忘我の境地でダンスする半裸の男性から虹のように湧き出てくる、あたたかな空気の帯の感触とか。
この1月19日の翌日はプロデューサー女史の誕生日だったので打ち上げ会場で日付を跨いだときに乾杯をしたこととか。
音源を聴くとたちまちに、たくさんの映像や匂いや温度が蘇る。
蘇る、って、いいな。
それが素敵なものであればなおのこと!