Darieの超~お気楽日記

音楽家Darie(濵田理恵)が日々のことを綴る、超~お気楽日記。

小鼻がフンッとふくらんだ

昨夜、友人からのすすめで、青山円形劇場で毎年公演が行われている「アラカルト」というお芝居を観た。
音楽監督をされているのが中西俊博さん、ピアノを弾かれているのがかねてより存じ上げている林正樹さん。
お二人にはとてもご無沙汰していたこともあって、終演後楽屋にご挨拶に伺った。
中西さんと初めてお目にかかったのは今からざっと23年前、中西さんの最初のリードアルバムの録音現場に私がお邪魔したときだった。
当時私は自分のデモテープを中西さんの担当ディレクターさんに定期的に聴いていただいていたのだ。毎月3曲ずつ提出し、アドバイスをさずかり、また翌月3曲作って持っていく、ということを繰り返していたのだが、その月の提出日がちょうど中西さんのアルバムのトラックダウンの日。
まあ、手っ取り早いし、TDの現場にいらっしゃい、ああ、せっかくだからここでアナタのデモテープをみんなで聴いてみようじゃありませんか、みんないるけど、ねぇ中西さんダイジョブだよね?、、、という恐ろしい展開となった。
不可思議な転調を繰り返すピアノと歌で構成された、不可思議な言葉のラブソング。
その場に居合わせた「音」のプロフェッショナル達が当時の私の音楽をどのように感じたかはわからないが、とにかく、初対面の中西さんはおしゃれで、なんとも陽性のオーラを醸し出す、バイオリンの達人だった。
私がその後、様々な紆余曲折を経てやっとこさアルバムデビューし、コマーシャル音楽だの番組音楽だのを担当するようになってからはスタジオでたまにお目にかかったものだったが、押しも押されぬ第一人者さんとなられた今も、チャーミングな風貌やリリカルな音色はまったく変わらない。
昨夜、レストランを舞台にしたお芝居を眺めながら、ああ、あれから23年も経ってしまったことよのぉ、と感慨深い思いで客席の薄暗闇に身を沈めていた。


ピアニストの林さんとは、縁あってとあるプロジェクトでご一緒したことがある。
しかし私はそれより以前から一方的に林さんのピアノのファンだったのである。
あるライブハウスのピアノの状態が知りたくて偵察がてらそのライブハウスの公演チケットを買った。その公演は偶然にも林さんのライブだったのだ。
縦横無尽に弾きつくす男性のピアノ、しかも柔らかくて、しなやかで、なんて魅力的なピアノを弾くミュージシャンだろう!とそのとき思った。
心の中身が無限に広がっていくような感覚を得た。
どこまでもどこまでもふくらんでいく、青空。
天高く伸びていく、樹木。
林さんのピアノを聴くとそんなイメージで身体中がいっぱいになる。


すばらしい音楽家さんたちの奏でる音色を心の中にぎっしり詰め込むと、すっかり暖かくなってしまった。
昨日はとても寒い日だったけれど、寒さになど頓着していられないほどのポカポカ状態で帰宅した。
ふーん。私もがんばらなければっ。と小鼻がふくらんだ夜更けだった。