Darieの超~お気楽日記

音楽家Darie(濵田理恵)が日々のことを綴る、超~お気楽日記。

インドと端唄と雅楽

先月、生まれて初めてインドに行った。
ジャイプル、ブンディ、ニムラナ。
三つの町を訪れて、それぞれの町で様々な場所に佇んできた。
ヨガをするわけでも、とくに瞑想するわけでも、かの有名なタージ・マハルを訪れるわけでもなく。
演奏活動はあったが、ビジネスとしてのものではない。
人から見れば大した観光目的もなくビジネスとも無関係に、なぜそんな遠方にわざわざ旅行をするのかと不思議がられるが、今回の旅はかなりなポンポイントで「行かざるを得ない」タイミングに恵まれたのだ。


毎年インドを訪れている私の友人が募る旅で、内容的には旅というよりは勉強会とかワークショップに近い。
親しい女性ばかり数人のグループ。
安全ではあるけれど、極めて質素な旅。
学びながら、しかしそれは教師に学ぶものではなく、自分自身から学びながらの旅。
異国の地を踏みしめ、異国の風に吹かれながら、自分自身の中を旅していた、とも言える。


インドでは連日、現地のガイドさんが運転する車で移動していたが、ある日、私のiPhoneに入っている音楽をカーステレオについないでBGMで流してみようということになった。
何を聴こうかリストを物色した結果、私の三味線弾き唄いの師匠・柳家小春氏の『小春』というアルバムを流してみた。
「梅は咲いたか」「茄子と南瓜」「大津絵両国」など、よく知られた江戸の端唄・俗曲、新内が収録されている。
これらの曲がインド人の耳にはどう聴こえるのかという興味もあっての選択だったが、大正解だった。
舞い上がるインドの砂埃、行き交う埃だらけの車、ごく普通に車道をそぞろ歩く家畜たち、無秩序な交通渋滞、雑然と路地で売られているカラフルな野菜や果物、とくに不機嫌ではないのに超〜不機嫌そうな顔のインドの人たち・・・・車窓から眺めるそんな風景が、江戸の端唄の世界にピタリとマッチして、同乗者のみなさんを唸らせてしまった。
運転手のインド人ガイドさんも、謎の口笛で参加。DNAが刺激されたか、未知の何かが目覚めたか、とにかく実に興味深い現象だった。
ゴミゴミと混雑する街中を抜け、人工物の極めて少ない開けた景観のエリアに入ると、今度は私の雅楽の横笛の師匠である長谷川景光氏のアルバム『仁明天皇雅楽』を流した。
光り輝くインドの日差しと青空が、龍笛と笙の音色によく合うこと合うこと、摩訶不思議な心地よさに、ここがいったいどこなのか、自分がいったい誰なのか、頭の中に混乱をきたすほど。
日本古来の音楽と、インドの景色は、合うのであります。合いすぎる、と言っても言い過ぎではない。


最終日にはガイド氏へのお礼に私の最新アルバム『ダリエ百葉窓』をプレゼントしたら、さっそく車の中でかけてくれた。
私の音楽はもともと無国籍テイストだし、違和感が無いというよりも、さらに不思議なことになっていた。日本語はより日本語に聴こえず、造語は妙に物語性を帯び、聴く場所が違えば音楽もこんなに違って聴こえるのか、と、普段まったく音楽を聴かない不真面目なリスナーである私もびっくり。
もちろん旅の間中、車の中で音楽ばかり聴いてたわけではないけれど、私自身、まだまだこの旅を咀嚼しきれておらず、いまだ静かに揺さぶられている状態なので、ご報告できることはほんのごく一部ですが、とにかく無事に戻って来られてよかったです。
また行きたいな、インド。




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♪♪♪アルバム楽曲解説♪♪♪
当ブログに掲載しております。
日記のように一日につき一曲、書き進めました。
全21曲。
http://d.hatena.ne.jp/darienonikki/20141228