Darieの超~お気楽日記

音楽家Darie(濵田理恵)が日々のことを綴る、超~お気楽日記。

ザ・ナレオ70周年はブルーノート東京で

10月2日、ブルーノート東京に於いて『創部70周年記念 THE NALEIO FES. at BLUE NOTE TOKYO』が開催され、私も僭越ながら参加させていただいて、どどっと歌ってまいりました。
歌いながら様々な思いが胸に去来して、ぐっとこみ上げ、、、と言いたいところですけれど、曲の進行が大変で、実のところ、それどころではなかったのです。
なにせバンマスの浅井竜介氏が構成した珠玉の名曲集、全33曲のメドレー。一瞬の油断もままならず、ひたすら突っ走らなくてはならなかったのでありました。
でも大変なシアワセ感に包まれたことは確かで、そのあたりのことをちょっと書きます。



「NALEIO」は「ナレオ」と読む。
早稲田大学の音楽サークルで、今年で70周年だというから大変な歴史がある。
もともとハワイアンミュージックのサークルとして始まり、 次第にその時代時代の流行りの音楽を演奏するようになったということだけれど、私が加入した当時、部員は主にブラックコンテンポラリーミュージックを演奏していた。ファンクロック、R&B、ディスコミュージック、フュージョン
現在とはまったく状況が異なり、世の中大々的に洋楽全盛期であったのだ。
私は当時ムサ美の学生だったけど、ひょんなつながりから慶応大学の音楽サークルに籍を置く「TAVASCO」というファンクバンドの一員になり、更にそこから早稲田のナレオに紹介されて入部した。
ナレオは3年生で構成されるたった1組のレギュラーバンドを頂点とする厳しい縦社会サークルだが、翌年レギュラーになる予定の2年生のバンドにボーカルがおらず、どこかにファンクをぶいぶい歌える人はいないかということになり、私に話しが来たのだ。
なんでもやってみよう精神でもって、まずは見学させていただくことになった。
文学部の片隅にある音楽長屋と呼ばれる建物の一室が、彼らの部室。
長屋の他の部屋からは、サックスやトランペットの音色が聴こえてくる。
ここが噂に聞くナレオの部室か〜〜などと思いながら扉の前に立つと、いきなり扉が開き、全身黒の出で立ちのスリムな男性がにゅっと顔を出した。
お化粧しているわけではないのだろうけれど、顔の彫りが深く、どこかグラムロックのミュージシャンのような陰影のある雰囲気の男性で、紹介者からの説明を聞いてすぐに中に入れてくれた。
ボーカルが不在であるそのバンドの仮のボーカリストとして、取り敢えず今日は自分が歌っているとのこと。
見たところ私たちよりもかなり先輩で、4年生を軽く通り越し、もはや自分が何年生なのか不明だと笑い飛ばすその男性は実はドラムが専門楽器。
そんな謎だらけの状況もさることながら、驚かされたのは彼らのすぐれた演奏技術。
なにこれ、本当に大学生なの?
目を白黒させながらおとなしく見学させていただくこと1時間程度だったか、私のナレオとの出会いはそんな驚きから始まった。


新参者としてこの集団に馴染むプロセスを注意深く踏みながら、このサークルがとても特殊なものであることが徐々にわかってきた頃、年度が切り替わった。
私たちはレギュラーバンドとなり、あちらこちらの現場で「お仕事」をこなした。
色んな会社や団体からパーティーに華を添えるための「バンドさん」として呼ばれるのだ。
とにかく好景気だったその当時、お仕事は絶え間なく舞い込み、ダンスパーティーを盛り上げるヒットナンバーを次から次へと練習しなくてはならなかった。
機材車に楽器を積み、結構な遠隔地までも遠征した。
そして年度末にヤクルトホールで年に一度のリサイタルを開催し、4年になると同時に引退。
下級生にレギュラーの座をバトンタッチし、何事もなかったかのように就活に励むのだ。
え!!!
こんなに上手なのに普通に就職するんだ・・・という驚き。
「音楽で食べていくことはできないから趣味で続けるんだよ」。
いたって涼しげでドライなスタンスなのだ。
そんな中でも、レコード会社のディレクターや音楽ライターになったり、本当にプロのミュージシャンや作曲家になる人もいて、音楽業界からの風がいつも吹いている、そんな場所だった。
ナレオを引退した私は、本来作っていた自分のオリジナル音楽を追求していた矢先、同じ代だったメンバーがポニーキャニオンでディレクターをしているというので、デモテープを持ち込んでいた。
そんなとき、キャニオン内に「T・E・N・T レーベル」というものが設立された。従来のキャニオンのカラーとは一線を画す、ムーンライダーズ高橋幸宏の両アーティストのためのレーベルであったが、そんなつながりからムーンライダーズ鈴木博文氏のもとでデモテープを作ることになったのだった。
その3年後にファーストアルバムをリリースし、それを聴いた業界関係者さんからCMの作曲のお仕事をいただくようになり、さらにそれを聴いた他の関係者さんからもお仕事が来て、という具合に、職業作曲家としてのレールがほぼ自動的に目の前に敷かれていった。
就職もせず、いい年して親からの仕送りだけで暮らす万年ぷー太郎だった私も、それからは無事に胸を張って「音楽家です」と自己紹介できるようになったのだった。


ナレオに在籍していた当時、まさにぶいぶいと歌っていた、ブラックコンテンポラリー、略して「ブラコン」。
ブラコンは私がそののち、自分の音楽にまっすぐに飛び込んでいくための、起爆剤のようなものだった。
全編英語で歌っていたブラコンから、自分のコトバで書いた自分の曲に。
日本人の身体性、日本語の発語からくる身体の響き、骨格の共鳴、日本人の弾くピアノ、間合い。それらを自分の音楽の中に見つけて慈しむようになった。
だから、長い間、本当に長い間、ナレオでの音楽のことを考えないようにしていたのだ。
でも、今回の70周年イベントに80年代バンドの一員として誘っていただき、再び当時のレパートリーを歌って、改めてその楽曲の持つエネルギーの凄さに身も心も浸った。
満席の客席では世代を問わず、たくさんのナレオOB・OGたちが一緒に歌ってくれている。
立ち上がって両手を高くかかげ、手拍子をしている仲間も。
そう、仲間なのね。
みんな、かつての感動を共有できたかけがえのない仲間なんだ、と思うと、本当にシアワセだった。
これからはブルーノートに出かけると、この日のシアワセ感が何倍にもなって蘇ることでしょう!!


80年代バンド、当日のセットリスト〜♪
M1 / Opening medley:


Once you get started / Rufus and Chaka Khan
Love and happiness / Larry Graham
Billy Jean / Michael Jackson
Super Stition / Stevie Wonder


M2 / Disco medley:


Fantasy / Earth, wind & fire
Le freak / Chic
Hot staff / Donna Summer
Celebration / Kool & the gang
Pow / Graham central staition
Life / Sly & the family stone
Got be Real / Sheryll Lynne
Best of my love / Emotions
Never too much / Luther Vandross
Shake it up tonight / Sheryll Lynne
That's the way / KC & the sunshine band
Super freak / Rick James
Thinking of you / Sister Sledge
We're family / Sister Sledge
Appaloosa / Gino Vannelli
Spain / Al Jerreau
I wish / Stevie Wonder
Turn your love around / George Benson
Shine on / George Duke
I'm every woman / Chaka Khan
The most beautiful girl in the world / Prince
Just two of us / Grover Washington Jr.
Come on come over / Jaco Pastorius
In the stone / Earth wind & fire
September / Earth wind & fire


M3 / Ending medley:


Shinning star / Earth wind & fire
Ain't nothing like the real thing / Mervin Gaye & Tammi Terrel
Wake up everybody / Harold Melvin & the blue notes
Ain't no mountain high enough / Marvin Gaye & Tammi Terrel


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♪♪♪アルバム楽曲解説♪♪♪
当ブログに掲載しております。
日記のように一日につき一曲、書き進めました。
全21曲。
http://d.hatena.ne.jp/darienonikki/20141228