Darieの超~お気楽日記

音楽家Darie(濵田理恵)が日々のことを綴る、超~お気楽日記。

『ダリエ百葉窓』楽曲解説。4曲目「水辺にて」

darienonikki2015-01-03

4.「水辺にて」


作詞・作編曲・歌:Darie
1994年1月19日、渋谷オンエアーウエストで、鈴木博文氏・青山陽一氏・私、の3アーティストによるライブが行われました。
この3人はその当時、同一の音楽コミュニティ内で活動することが多かったのです。
ムーンライダーズのメンバーである鈴木博文氏が80年代に立ち上げた「メトロトロン」というインディーズレーベルで全員がソロアルバムを出しているという共通点に加えて、当時鈴木氏と私が私生活上のパートナーであった所以から盤石なる音楽共同体的基盤が出来上がっており、その共同体の本拠地、つまり鈴木氏の自宅で青山氏のソロアルバムは録音されていたのでした。
鈴木家の方々(しかも大家族!)が生活を営まれるその自宅の一室がスタジオとして機能しており、様々なアーティストがその場所を訪れ、たくさんの個性的なアルバムが生み出されていました。
同一コミュニティ内のアーティスト達は、お互いのアルバム録音において賛助的演奏をし、賛助的おさんどんもし、こと音楽面では無償で協力を惜しまない、音楽家天国のような場所でした。
バブルが崩壊してはいても、今(2015年)と較べれば遥かに景気が良く、歌舞音曲が世の中にとって無くてはならない必須栄養素だった時代。
鈴木氏を中心とするメトロトロンがホームグラウンドであったミュージシャン達は、好景気の波にも後押しされ、活発に多彩な活動を展開していました。
・・・・・以上が、ざっとですが、この時代の、その集団的周辺事情とカルチャー的背景です。(多分に偏見入ってますが)



94年の前年の秋、当時メトロトロンレコードのA&Rマンをされていた芝省三さんから「この3人でライブをやりませんか」とオファーをいただいたとき私は、ワンマンライブではないからこそ何か特別なことをやってみたい、と考えたのです。
そこで、友人の伊藤美保女史に相談をもちかけました。
「面白いクリエイターとコラボレーションをして、パフォーマンス色の強いライブをやってみたい」
当時、伊藤女史のまわりには、パフォーマーやクリエイターがたくさん集まっていたのです。
彼女のプロデュースのもと、写真家の松浦文生氏、役者でダンサーの真胡珠央氏、オブジェ作家のオカモチ氏が協力してくださることになり、マルチスライドによる写真(光)と、舞踏と、音楽で、30分少々のコラボレーション作品を作ることにしました。
具体的には、スクリーンに映し出された輝くスライド画像の前で白塗りの真胡珠央氏が舞い、私は自分の未発表のオリジナルを6曲ほど、光るオブジェを抱きながらカラオケ音源をバックに歌う、というもの。
「水辺にて」はその中の1曲です。
1月19日の本番日に間に合わせるため、お正月はずっと一人でこつこつと打ち込み作業が続きました。
一方、オブジェやスライドのチームもそれぞれに作業を進め、マルチスライドのプログラミングが完成したのは本番の数日前だったように思います。
FRP樹脂で作ってもらったオブジェには光源を仕込み、赤子のように腕に抱きながら歌いました。
エンジニア畑の友人に協力していただいて、音楽とマルチスライドを同期させるためにオープンリールを使ったり、限られた予算の範囲で当時ならではの工夫をしています。
衣装は、私が組んでいたユニット「ホーカシャン」のリーダーにしてメトロファルスのボーカルである伊藤ヨタロウ氏の奥方・伊藤あさよ氏に作っていただきました。伊藤あさよ氏はイッセイミヤケでの修行の経験をお持ちだったのです。
他にもお手伝いくださった友人知人がたくさん。どの人も、もの作りの現場を知っている方ばかり。
たった一度の舞台のために、よくぞこれだけの才人たちが情熱を注いでくれたことだなあと心から感謝し、感動しました。
自分自身もふくめた日本のクリエイターの未来はものすごく明るいぞ! と、頼もしく感じたものです。
プロデュースをしてくれた伊藤美保氏と手に手をとって、「やってよかった!」「みんなすばらしい!」と自画自賛の嵐。(笑)
このときのことは、伊藤氏が「エクリプスの瞬く間」というライナーをアルバムのブックレットに寄稿してくれています。




当曲「水辺にて」は、私が20代前半に作った曲です。
ピアノと歌だけで簡単に録音したデモテープは存在しましたが、89年に出したファーストアルバムの選曲から外れ、その後も出番のタイミングを逸したままになっていたのです。
このときのパフォーマンスライブでは、「水辺にて」の他にも作りっぱなしになっていた曲を何曲か引っ張り出してきて、きちんと自分でアレンジをしてお客さまに聴いていただきました。アルバム17曲目の「残照」もそれにあたります。
この頃使っていたシンセやサンプラーの音色に特有の時代性を感じますが、今から21年も前のこととなると、なんだかむしろ珍しくていい感じ。(笑)
しかし、せっかくアレンジしたのに音盤化することなく、2枚目のアルバムにも、その次のアルバムにも収録しないまま、ずっとお蔵入りになっていたのでした。
今、冷静に聴き返すと(私が好んで自分のために作る曲のほとんどがそうであるように)ポップスとしての普遍性には欠けているし、コードや楽曲構造が少々複雑ですが、本来はこういう音楽を10代の頃から作っていた私が、長い音楽生活を送るうち、どこかで自分のこうした部分に蓋をしながら活動するようになってしまっていた事実も否めません。
このたびのアルバムの編纂は、そんな活動姿勢に冷水を浴びせる、良いきっかけになったかもしれませんね。
私らしいって、なんだろう。
そう。この問いかけは、一生続くのであります。



右上の画像は1994年1月19日の記録です。(写真:松浦文生)





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