Darieの超~お気楽日記

音楽家Darie(濵田理恵)が日々のことを綴る、超~お気楽日記。

笑顔に会いたい

darienonikki2014-10-23

昨夜は朋友・小峰公子女史が参加している「白崎映美&とうほぐまづりオールスターズ」の大阪公演を拝見した。
先月東京公演が行われ、こちらも楽しく拝見したのでありますが、これがもう、ブッ飛びまくりのお祭り騒ぎ。
日本人が身体の奥深くに絶やす事無く大切に守りつづけてきた「祭り」の魂がおおいに揺さぶられ、これはもう一度拝見せねばというわけで、妹を誘いだし、大阪公演に臨んだ次第である。
身体の半分に東北の血の流れる我々姉妹は、ビールで大々的に血流を増加させつつ「まづろわぬ民」たちの音楽に至福の思いで身をゆだねた。
何かとお世話になっている小峰女史への捧げものとして私の新譜を進呈し、とろんと幸せなお祭り気分で会場をあとにした東北ハーフ姉妹は勢いづき、タクシーに乗り込んで、いざワインを飲みに。
肌寒くなってきた昨今には嬉しいちょっと濃厚な白ワインを片手に、あーでもないこーでもない、とりとめのない話題に終始していたまさにそのとき、ゲストで呼んでいただいて先日収録したFM西東京の「DAWNRADIO」がオンエアされていた。
この番組に私が呼んでいただいた理由のひとつとして、まず「笑顔に会いたい」という楽曲の存在がある。
この曲に関してこれまであまりみなさんにご説明する機会はなく、しかも自分のライブで歌ったことが一度もない。
新譜発表以来ちょこちょこラジオ番組に出させていただいているにもかかわらず、この曲の話題がほとんど出ないのは本人的には実はホッと安堵するものの、一度くらいはこの曲と向き合った過去の記憶が呼び覚まされるような状況下に置かれてみたいと思っていた矢先、「DAWNRADIO」さんからのご依頼は、そんな私の心情にドンピシャのゲスト出演だった。
パーソナリティの朱里さんが「笑顔に会いたい」がとてもお好きだということもあって私はこの番組に呼んでいただいているのだから、当然話題はこの曲に多少なりとも舵を切る。
結局は、私が個人的に好きな「滝行」などの話題で大盛り上がりとなり、この曲はちょこんとソエモノ的な扱いになったのであったが、まあ、それもよかったかな、と思う。
で、今日はこの曲が作られた頃のことを書いてみようかな、と。



今からちょうど20年前、「ママレード・ボーイ」というテレビアニメーション番組が放映された。
主題歌は「笑顔に会いたい」という曲で、作編曲と歌を私が担当した。
曲に関しては、大変な競争率の競合だとディレクターさんから伺っていたけれど、私としてはごく普通に締め切りに間に合うように曲を提出し、数週間が経過、他の仕事に忙殺されてこの曲のことが頭からお留守になっていた頃、「オープニングテーマとして最終選考まで残っています!」とのご報告を受けたその数日後には「満場一致でダリエさんの曲に決まりました!」との急展開。
大急ぎでアレンジの打ち合せをし、作業を進めていくなかで、最大の問題は、この曲を誰が歌うか、ということだった。
歌い手が決まらなければキーが決まらない。
私は適任と思われる歌手の方を推薦した。
ところがその歌い手さんは偶然にも同アニメのエンディングテーマを歌われることが決定していたため、オープニングテーマは別の歌い手にする必要があったのだ。
曲を提出したときに入れてあった私の仮歌がみなさんに好評で、原作者の吉住渉さんからも熱きリクエストをいただき、関係者のみなさんに説き伏せられるように、私が歌うことに決まった。
自分で歌うことを見事に視野に入れていなかった私は、この曲とどう向き合えばいいのか、実のところまったくわからなかった。でも、歌っていくうちに、むずかしいことなど一切考えなくなった。その世界に自然と身体を溶け込ませるようにのびのびと歌った。
この歌の中に一人称は登場しない。主人公と思われる少女は甘酸っぱい気持ちで恋愛の階段を一歩一歩もどかしく昇っていく。誰もが経験してきた大人へのプロセス。
少女の葛藤と成長を限られた字数の中に余すところ無く表現したすばらしい歌詞は、柚木美祐さんによるもの。
あれから20年経った今でも柚木さんとはたまにお目にかかってワイワイとお酒をご一緒することがあるけれど、こうして紡がれたご縁の源は、この1曲にあるのだ。
まだまだ世の中が好景気だった時代。ストリングスをしっかりした編成で入れさせていただいて、アレンジャー冥利に尽きるレコーディングだった。
そしてまた、もしも私がピンクレディが大ヒットした時代に思春期を生きていなかったならば、あのストリングスアレンジは出てこなかったかもしれない、とも思うのだ。



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