夢の話し。
夢の内容と実生活がリンクすることが、私の場合、ほとんど無い。
たとえば私の本業は音楽家であるから、音楽に関係した夢を日常的に見ていても不思議ではないのに、ぜんぜん見ない。
同業者たちに普段どんな夢を見るのかと訊いてみると、ジョン・レノンとステージで共演して嬉しかったとか、自分のライブが終わって打ち上げで乾杯しようとしたら冷えたビールが無くて散々だったとか、大切な録音の日にスタジオに着いたら家に譜面を忘れてきたことに気づいて背筋が凍ったとか、音楽ネタに彩られた夢の話しがたくさん出てくる。
以前から、これが私には羨ましかった。
ミュージシャン歴はかなり長いのに(高校生のときにドーナツ盤でアレンジャーデビュー)、音楽ネタの夢をまったくと言っていいほど見たことが無いのは何故だろう。
たまに見る夢の定番としては、自分が色紙で作った長い長い輪飾りになって砂漠の上をゆったり細長い身をくねらせながら飛んでる夢。始まりも終わりもなくて、ただひたすらにどこまでも飛んでいく、至福の夢である。
あとは、広大に広がる焼き畑の景色を眺めていると虹が無数にかかっていく夢とか、水中に潜りながらぜんぜん苦しくならずにエイのように泳ぎ続けている夢・・・。どれも最高にハッピーな夢だけれど、そこには音楽は無い。
ごくたまに、ものすごい勢いでピアノを弾きまくっている夢を見ることがある。でもそれは音楽というよりは激しく負荷のかかるスポーツや、絶え間ない連続運動によるトランス状態なんかに近い。
吉田拓郎と共演とか、武満徹と連弾とか、カラヤンと対談(笑)とか、ファンタジックな音楽ネタ満載の夢を見てみたいとは今更思わないけど、私、これでいいのかしら、と正直心配にもなるのだ。
ところが、今朝は見たのである、音楽夢を。
夢の中の私はどうやらライブか録音を控えているようで、そのためのバンドリハーサル。
ピアノ弾きながらメンバーのみなさんに曲の雰囲気を伝えている。
歌いだすと、これまでの私ならばあまりしてこなかった歌い方をしていて、へーこんな歌い方もいいな〜なんて思ってるご機嫌な夢だった。
ものすごくリアルでありきたりな、知りすぎてるほど知ってる、音楽の現場の質感だった。
とにかく、やっとこさ砂漠上空の輪飾りや海中のエイから今を生きる人間となって、きちんと本業らしきことをやってる夢を見られたってことで、今朝(お昼近かったけど)は自分なりにエポックメイキングな気分だった。
まあ、そろそろライブもやれよ、と内なる自分が言っておるのだろうと、年末っぽく解釈してみまちた。
画像は、先日、私の三味線弾き歌いの師匠である柳家小春女史のコンサートに伺ったあとの、打ち上げの図。
美味しい日本酒をいただいてほっぺ赤いな〜。