大阪の実家に戻ってきている。
実家の家族の心配が極限に達してきたところに、4月三越の公演中止の決定。
そんなわけで数日前、節電のために薄暗くなっている羽田空港から関西空港に向けて飛び立った。
犬と遊び、スーパームーンを堪能し、家族と食事をし、友人に会う。
そんなごく普通の生活を送る。
そのことが、これほどありがたく、得難いものだとは。
夜、非常用持ち出し袋を枕元に置かなくても済む、そのことをじんわりと有り難く思った。
東京のスーパーマーケットでは、多くの品物が売り切れだった。
大阪では買い占めに走る人はとりあえずいないけれど、少し前に行った大型スーパーでは、なぜかタバスコが売り切れだった。
なぜタバスコ。。
そういえば、私はその昔、タバスコという名前のファンクバンドを組んでいたのだった。
その当時のことを鮮明に思い起こさせる人物と、昨日の昼、道頓堀のうどん屋でお酒を飲んだ。
ビールから始まり、熱燗をいただき、おかわりをし、最後にまたビール。
よく食べ、よく飲み、よく喋り、まるで震災など無かったかのような、超〜お気楽な心持ちになった。
でも、私たちが春の小雨そぼ降るまっ昼間に、東京から遠く離れたこの場所でお酒をご一緒しているそのわけは、不幸にも震災が起きたからに他ならないのだ。
ほろ酔いの私たちは笑顔で手をふって別れた。
手をふりながら、今日はなんとしてでもタバスコを買って帰ろうと心に決めていたけれど、酔いがさめるのと同時に、すっかり忘れてしまった。
