Darieの超~お気楽日記

音楽家Darie(濵田理恵)が日々のことを綴る、超~お気楽日記。

彫刻家の娘

20年以上も前のことだが、伯母の葬儀の場で、父からとある老婦人を紹介された。
その女性は父の大叔父の長女、ということだから、私とも遠く血のつながりがある親戚だ。
女性の父親はとうに他界していたが生前は彫刻家で、彼女は父親の作品管理や財産管理などをしていた。
私が美大を卒業して今は音楽家を志している、ということに興味を持ったらしく、少しお話した。
そもそも私があてどない浪人時代の夏にいきなり美大に行きたいと言い出したとき、両親がそれほど驚かず反対もしなかったのは、親戚に彫刻家がいたからのようで、私が翌年志望校に合格したとき初めて父から彫刻家だった大伯父の話を聞かせてもらったのだった。
やっぱり血かしらね〜〜、なんて親戚一同に言われたおしたもんだが、入学した途端に私の興味は再び音楽に舞い戻り、母校以外の名門音系サークルをちゃらちゃらと渡り歩き、卒業後は好景気絶好調の中、どこにも就職せずに実家から仕送りをしてもらいながら家でこつこつ曲を書いて暮らしていた。
その後なんとか形になって音楽の世界で生計が立てられる「今」があるから良かったようなものの、あのまま只のアマチュア曲書きパラサイト金食い虫だったら、正真正銘のダメダメどら娘だったと思う。
常に軌道から逸脱しがちな人生のクセは果たして「血」だったのかは定かでないけれど、2〜3日前、その一度しか会っていない彫刻家の娘が夢に現れた。
そもそもその女性の顔もはっきりとは憶えていないし、細かな夢の内容も忘れてしまったが、起床直後、非常にもやもやと、しめっぽく懐かしい、複雑な感覚が胸に残った。
ものつくりをする人の娘。彼女自身もものつくりであったかどうか、それ自体も忘れてしまったけれど、夢のとりとめの無さも手伝って、あれこれぼんやり考える数日になったのだった。
創作活動にもいろいろあって、たとえば作家である夫をサポートする妻の日常は創作の一環と解釈することが可能なように、あらゆるところに創作的側面は存在する。
創作的意識でありさえすれば、それでよいのだ。
そういう人が好きだ。