Darieの超~お気楽日記

音楽家Darie(濵田理恵)が日々のことを綴る、超~お気楽日記。

サイコー

貧血である。
私はこう見えて熱血体質で、おまけに何年かかっても自分の思う方向に事が運ぶまで諦めないド根性の持ち主ではあるが、これでなかなか血が薄いのだ。
献血を断られたことが過去に何度かあるくらいなので、貧血を自覚するとあまり無理をしないことにしている。
しかし場合によってはそうもいかない。
以前かかわっていたCROWというユニットのライブで、私の出番が近づきステージの袖に向かう最中に、深い貧血を自覚して焦ったことがある。
普段の自分のライブのようにピアノに座って歌うのではなく、きちんと立って、声帯の限界に挑戦!みたいなアプローチを余儀なくされるユニットであったので、内心「どうしよう」と思った。
お客さんの目の前で昏倒してしまったら大変だ。
気を失った私はいいが、まわりもメンバーもお客さんも大変である。
なので、けっして倒れないように、あられもなく昇天しないように、アチラ側に行ってしまわないように、細く細く集中の糸を途切れさせることなく、注意を払いながらもガンガン歌った。
終わって、楽屋に戻ってきた私を見て、ヘアメークを担当してくださった方が驚いていた。
私が全身汗びっしょりだったからだ。デザイナーさんからお借りした衣装も、ぐっしょり。脱いだあとの衣装はずっしり重く、絞れるほどの発汗量だった。


貧血のときに聴く音楽は、ことのほか美しい。
お芝居も、薄い皮膜の向こうでのことのようで、残酷なものはより残酷に感じられて興味深い。
不道徳なものは、より背徳感あふれる。
抜き差しならないものは、よりギリギリで均衡を損なう。
そういうものを心から欲するときがある。
そういうときにタイミングよく貧血になってくれると、もう、サイコーである。