Darieの超~お気楽日記

音楽家Darie(濵田理恵)が日々のことを綴る、超~お気楽日記。

表情なき逃亡者

darienonikki2007-12-09

音をたてて、一気にバサッといった。
卓上の一輪挿しにいけてあった、いただきもののバラ。



ついさっき、車で都心からの帰り、自宅から3キロほど離れた道路上で信号待ちをしていたら、ドンっと軽い衝撃を感じた。
何が起きたのか瞬時には理解できなかったが、バックミラーを見ると後続の車がやけに近い。
ああ、追突されてしまったのだ、こんな混雑している路上で。しかも、運転手は携帯電話での会話に夢中で、他人の車にぶつかったことにまったく気づいていない。
車をおりてリアバンパーを確認すると完全に後ろの車とくっついている。
へこんではいないが、追突は追突だ。
つかつかと後続の車に歩み寄り、窓をコンコンとノックするとするするとパワーウインドが開いた。
「ぶつかったみたいですよ、あなたの車」と言うと、驚いているのかいないのか、表情のまったく汲み取れない顔つきの20代後半とおぼしき男性が「え・・・」と能面のような顔で絶句。
助手席の男性はものすごい大口を開けて眠っている。
日曜の午後7時、混雑をきわめる路上、数分間停めておくこともままならない。とりあえず左折してすぐのあたりに移動しましょう、ということになり、私は左折しつつハザードをつけた。
と、追突車、右折して一気に反対方向に走り去っていった。
「やられた」と思うものの、追突車はバックミラーの中をどんどん遠ざかってすぐに見えなくなり、もうどうすることもできない。
夜、混雑する狭い路上、とはいえ、相手のナンバーも車種もまったくわからないのは不覚のいたり。
携帯電話のカメラでまずは接触状態と相手のナンバープレートを撮影するべきだった。
それにしても、去っていった追突車の走行ぶりにはなんの躊躇もなかった。
あの無表情な顔面の内側で、一瞬のうちに「逃げる」ことが選択され、ごくごく自然で当たり前の行為のように、走り去ったのだ。
その間、助手席の男性は深い眠りの底にいるのだから、何も知らない。
このことを知っているのは、追突された私と、追突した自覚も罪の意識も持ち合わせない無表情な若者だけだ。
こちらのバンパーがほとんど無傷だったこともあるけれど、なんだかアホらしくて腹も立たない。
なんとも宙ぶらりんで不思議な気分のまま、近隣のスーパーに寄り、トイレットペーパーと食料品を買って帰ってきた。