Darieの超~お気楽日記

音楽家Darie(濵田理恵)が日々のことを綴る、超~お気楽日記。

実家の母は生まれつきひどく身体が弱かったそうで、小学生時代など年の3分の1は布団に寝かされていたという。
寝ているときに何をしているかというと、好きな本を読んだり教科書を舐めるように眺めて自習していたそうだが、その他にも珍しい「個練」に励んでいた。身体を思う存分動かせないかわりに頭の中で身体的イメージトレーニングに興じていたのだという。
指一本動かさず、ただただ頭の中だけで、自分の身体を動かすのだ。
縄跳びの3重跳びは、こう、、、とか。
側転は、こう、、、、とか。
去年習った藤娘の振りはこう、、、とか。
そして、たまに体調がよいと庭に出てそれらをスルッと体現し、また数日後からは寝て過ごす日々だったのだそうで、外側から一見すればただおとなしく寝ているだけの彼女の皮膚一枚内側では、おそらく通常の健康な人たちと同じ身体感覚が大変な勢いで逆巻いていたのだろう。


中学にあがると何故か突然に健康体となり、今まで虚弱だったために満足に楽しめなかった身体に関するありとあらゆる種類のことを片っ端からやっつけていったそうだが、体操部の練習の際に急に電池が切れたようになり、30分ほど横になっては再び何事もなかったかのようにトレーニングに戻る、という特殊な体質だったという。


この、急に電池が切れる、という体質を私は幾分受け継いでいる。
私はもともと超〜健康体だし身体は比較的よく動きよく利く方だと思うけれど、頭の中だけで自分の身体を動かすということも小さい頃からかなり頻繁にする。誰にもそうしろと教えられてはいないけれども。


「体質」や「癖」、は遺伝するのだ。
そして、「生きていく上での癖」みたいなものも、色濃く受け継がれるのだと思う。
それをふと鮮明に感じて、思わずゾッとなる。と同時に、妙に安心めいた気分になる。なぜならその癖によってもしかするとマイナスな方向に導かれてしまった場合の対処法をも最初から知っているも同然だからだ。
親を通して、自分の中にある自分への答えを知る。不思議な気分になる。
しかし、会ったこともない、実物を見たこともない過去の親戚には、少なからずもその思いを抱くことはできない。
私が美大に合格したとき、何代か前の親戚筋に彫刻家がいたという話しをよく聞かされたけれど、それがどーした、と正直思った。
その人の動かしがたい癖や体質が私の細胞に何かを囁きかけてきたとは、やはり思えない。
目の前の、生きている、血の通った、逆ヒナ形のような、相似形と向き合ってこその、感慨なのだろうと思う。
逆に、アッチ(親)はそのへんをどう感じているのか、そのうち聞いてみたいなぁ。